2003年2月の日記
2月1日(土)の朝

 昨日は日中は同級生の台湾人の引越しを手伝ったりで、疲れてしまって夜も一切勉強せず、かといって何をするわけでもなくダラダラと過ごしてしまいました。勉強時間ゼロです。こんなんじゃだめだ。

 ところでその中でいろいろ聞いたのですが、今年UT政治学部のPh.D.プログラムへの志願者は激増しているようです。去年にしても僕の年に比べて大分増えたのに、そこからさらに増えました。2年前の僕の年に比べたら1.8倍くらいです。やはりこれは不景気の影響でしょうか。僕は運が良かったようです。でもこの不景気は現在の僕にとっても影響をもたずにいられません。州からの予算削減のため、そのしわよせが留学生のTAのポジションに影響を与えるかも、とのことなのです。というのも、これまでは僕のような英語が使い物にならないTAのために、各種英語を使わなくて良いポジションが用意されていたのですが、それが無くなるかもしれないのです。つまり英語ができない限りTAの職にはありつけない、と。これまた僕は運が良いのかもしれませんが、それでもこの問題はまだまだ英語が苦手な僕にとっては深刻な問題です。

2月2日(日)の夕方

 昨日は3月にテネシー州ナッシュビルで開かれる公共選択学会に出席するための飛行機のチケットとホテルの手配をしました。僕が発表するのは3月21日(金)の午後、ディスカッサントをするのは二日後の23日(日)の朝です(なんとも嫌な日程です…)。できるだけお金は浮かせたいので、行きは21日の早朝にすることに。幸いオースチン発8:00、ナッシュビル着9:50というのがとれました。発表は13:45からなのでなんとか間に合うのではないかと思います。帰りは残念ながら良い時間とルートがとれず、夕方にナッシュビルを出て5時間以上かけて10時前にオースチン着です。アメリカで最も優良経営の航空会社の一つであるサウスウエスト航空を利用するのですが、料金は往復税込みで約240ドル。またホテルですが、会場となっているのはナッシュビルのダウンタウンにあるシェラトンで、学会出席者価格でも一泊139ドルという高さ。UTからは学会で発表する大物の先生(元公共選択学会会長)と僕だけしか行かず、まさかこの先生に声をかけるわけにもいかないので(ちなみに面識なし)、別の近くのホテルを探すことに。するとシェラトンと同じ通りにBest Westernというチェーンホテルを発見。料金を調べるとそれでも安くは無く、一泊92ドル。でもまさか郊外に宿をとるわけにもいかないし、これ以上のところは無いと判断して結局ここにすることに。二泊で184ドル+税の出費です。本当にカネがかかります。ペーパーを発表するので学部からの補助で300ドルもらえるのですが、それでも200ドルくらいの出費となります。まさかとは思いますが、どなたかこのページを見ている人でホテルの部屋をシェアできる人はいないですよね!?。

 それと今学期はさらに、ペーパーは発表しませんが4月にある南西部政治学会にも行こうと思っています。というのも、場所がオースチンから最も近い大都市、車で2時間かからないサンアントニオで、これ以上の近場で学会があることはまず無いと思えるからです。それにUTの同級生や先輩もたくさん発表するし、ペーパーを発表するために来られるミシガン州立大学のまえださんにも久しぶりに会いたいし。ちなみに僕とまえださんとテキサスA&Mの後輩の3人でホテルの部屋をシェアする予定です(予約済み)。

 あとご存知のとおり、昨日の朝テキサス上空でスペースシャトルの事故がありました。ニュースでは「破片らしきものを見つけたらすぐに通報するように」ということをしきりに言っていました。ちなみに破片を隠し持ったりすると罰金25万ドルなのだそうです。

2月3日(月)の夜

 今日の昼は去年、聖書の勉強会でお世話になっていた牧師とごはんを食べました。彼とは2週間に1回金曜日にあるキリスト教系団体のディナーで顔は合わせるのですが、最近じっくり話したことが無かったので、「会おう」ということでした。まあ別に話の内容は大したことでもないのですが、一つ最近気になることを質問してみました。それは「なぜ一部のクリスチャン(おそらく原理主義者)は、イスラエルを熱烈に支持しつつ、イラクに対する戦争を煽るのか?」ということです。イスラエルはご存知のとおり、キリストを受け入れず迫害したユダヤ人の国です。もちろんアメリカとイスラエルはなかなか特殊な関係にあって、仲は良いのですが、それでも熱心なクリスチャンがイスラエルを積極的に支持して、イラクに敵意を剥き出しにする理由はよくわかりません。この問に対する彼の答えは「そういう保守的なクリスチャンたちは神は未だイスラエルとともにある、と考えているからだ」ということでした。旧約聖書によれば、神はユダヤ人たちにイスラエルの土地を「永遠に」与えました。そして「この民を祝福する者は祝福され、迫害する者は迫害されるだろう」と言いました。つまりこの教えに忠実であり、神に祝福されるためには、クリスチャンは常にイスラエルの側にいなくてはいけないのです。ここにアメリカの一部のクリスチャンたちがイスラエルを支持する理由があります。ただし一つややこしい問題があるそうで、というのも神はイスラエルの土地をユダヤ人に永遠に与えることは与えるにしても、「もしユダヤ人たちが神に従順でなければ、彼らはその土地から出たり入ったりしなければいけないだろう」とも言っているそうです。それで歴史を見てみると、事実としてユダヤ人たちはエジプトやバビロニアに連れて行かれたりなどで、イスラエルの地から散り散りになっています。つまり彼らは神に従順で無かった、神はもうユダヤ人とともにいない、とも言えるかも知れないのです。
 あとこの牧師に個人的にイスラエル―アラブの問題をどう思うか聞いてみました。彼の答えは「イスラエルは神によってあの土地に住む権利を与えられている。これは良い、悪いの問題ではなく、聖書にそうはっきり書いてあることで、それ以上の理由は無い。でもだからといってイスラエルがむやみに領土を広げたり、アラブ人たちを殺しても良いとは思わない」ということでした。アメリカにおける宗教と政治という問題はなかなか興味深いものです。

2月5日(水)の夜

 「政治の制度と過程」の授業ですが、困ったことに先生の言っていることが全く理解できません。「やっぱ僕の英語もまだまだだなあ」と落ち込んでいたのですが、今日アメリカ人の同級生にそのことを言うと彼も「何を言っているのかさっぱりわからない」とのことでした。付け加えていわく「彼(先生)は頭が良すぎて、頭が悪い学生のことを理解できないんだ」とのこと。確かにこの先生は、3時間休みなく話し続け、その話はかなりの広範囲に及び、ときに議論の飛躍とすら思えるほどです。さっき話していたことと、今話していたことがどう関係があるのか分からないことがしばしばです。そうやって一通り話し終わった後、「今の話についてどう思う?」って聞かれても学生は黙るしかありません。この先生の研究スタイルは、誰にでも入手可能な集計された選挙統計や簡単なクロス表をもとに、誰にも思いつかないけど説得力のある解釈を導き出すというもので、いわば職人芸みたいなもんです。こういうのはハンチントンなど古いタイプの学者に多い気がしますが、圧倒的な知識量と頭の良さが無いとできないことだと思います。とはいえ、来週のこの時間が締め切りの第一回目のペーパーを書かなければいけません。テーマは授業でカバーした「多元主義」、「アメリカの自由主義の伝統」、「政治発展」、「ステイティスト」の4つのトピックのうち一つ選択です。とりあえず「ステイティスト」の議論についてペーパーを書こうと思います(ちなみに今回の授業でスコッチポルを初めて読みました)。エコノメトリクスの授業の宿題の提出も来週火曜日にあるので週末は大忙しです。

2月6日(木)の夜

 僕がTAをしている大学院の回帰分析を教えるクラスで、今日第一回目の宿題が配られました。それでそれまでに配ったハンドアウトとか無い人がいたら困るだろうと授業の最後に、「ハンドアウトの1〜5のうちもってないのがあれば、僕の所に来てください。」とアナウンスしました。するとやはり何人かの学生が来たのですが、その中にすごいひどい人が。彼女はインド人の女性で「たぶんどれか一つ足りないはずなんだけど、どれが足りないのかわからないから、とりあえず全部欲しい」と言います。それで僕が「普段の授業にハンドアウトを持ってきていないんですか!?。そんな無茶なことできないです。」と言うと、「これから家に帰ってどれが足りないか、調べるのは大変だし、何より宿題をするのに今すぐ必要だから」とのこと。仕方なく「先生に言ってみるから、ここで待っていてください」と言って、先生のオフィスへ。事情を話すと、先生は怒り出して、「そんな無茶なことが許されるわけがない。だいたいキミも気前が良すぎる!」と言います。結局今回限りということで先生はハンドアウトをくれたのですが、何だか僕が悪い事をしたみたいで、腹が立ちました。だいたい僕の限られた経験ではインド人は無茶な人が多いです。

 それと今日のフォーマルセオリーのクラスでのこと。去年の春学期のゲーム理論の授業ではこの先生は結構雑談をして面白かったのですが、今学期はそれがないなあ、と思っていたところ、久しぶりに聞くことができました。話は先生の博士論文のアドバイザーだったウィリアム・ライカーのこと。ライカーは1920年生まれで、ハーバードで全然数理に関係の無いことで博士号を取得。就職してから数理に目覚めたのだそうです。そのため数学の教育を受けておらず、実は数学が苦手だったのだそうです(といっても「数理の専門家」としては、ということで今の僕よりもできたとは思いますが)。今のこのクラスで使っているライカーの"Liberalism against Populism"という本の中で「この本は初級なので定理の証明はありません」とあるのですが、この先生いわく「ライカーはしないんじゃなくて、できなかったんだ」とのこと。実際、ライカーの大学院のクラスも、評判の数理の本を学生が選んで、内容をライカーに説明して教えるというものだったそうです。それでもライカーは頭が良かったから実質的な議論とか政治理論とかを数理と結びつけることで、学会の中で重きをなすようになれたのだとか(元アメリカ政治学会会長)。実際、ライカーは数学的な議論よりも、「投票のパラドクス」が、いつどこの国の議会で何回起こったかとか、そういう歴史的なことを調べていたのだそうです。
 ところで、そろそろ来年のTAの選考のシーズンになってきました。推薦状を3通そろえないといけません。1通はアドバイザー、1通は僕がTAをしている(クラスも3つとった)計量の先生に頼むことにすでに決めてあります。問題はあと1通。二人頼めそうな先生がいて、このフォーマルセオリーの先生はその一人です。どうしようかとずっと考えていたのですが、どうもこの先生は僕のことを気に入ってくれているっぽいので、思いきって頼むことにしました。すると"I'm happy to do that."と非常に色よい返事。良かった、と安心していたのですが、アパートに帰って財政援助委員会のメンバーを見て愕然。もう一人お願いしようとしていた先生がメンバーの一人なのです。人づてに聞いた話では結構僕のことを評価してくれていたそうです。「なんでオレに頼まないんだ」ということになりかねません(そんなこと気にもしない可能性もある先生ですが)。しかも顔ぶれを見ると、qualitativeのアプローチをとる人ばかりで、普段からqualitativeの人に批判的なこのフォーマルセオリーの先生の推薦状は明らかに効きそうにありません(あるいは逆効果になりかねません)。かといって、今更"happy"と言っている先生に頼まないわけには行かないし…。ああ…。

 あと、今何気なく学部のホームページを見たのですが、3月にハーバードのゲーリー・キングがUT政治学部でレクチャーをするみたいです。本当に来るんだろうな!?。

2月7日(金)の夜

 今日の午後、もはめど氏と僕が主催するフォーマルセオリーの勉強会の第一回目がありました。目的としては、フォーマルセオリー入門の授業では、選択必修の課目ということもあってか、定理の証明問題を全く扱わないので、それを補完しつつ、さらにより数学的な観点からフォーマルセオリーを理解しよう、というものです。テキストはDavid Austen-Smith and Jeffery S. Banks. 2000. Positive Political Theory I: Collective Preference. U.of Michigan Press.。2週間くらい前からいろいろ呼びかけていたのですが、結局今日集まったのは、僕ともはめど氏を含めて5人でした。でもあと一人くらいは増えそうです。中にはフォーマルセオリー専攻で先学期コンプにも受かったアメリカ人の先輩がいて、実質的に彼が教えてくれるような感じです。フォーマルセオリーの先生もこの勉強会の事は知っていて、「何か質問があれば、よろんで受け付ける」とのことなので、また何か聞く機会もあるかもしれません。もはめど氏の書いてきた適切なハンドアウトのおかげもあって、第一回目はつつがなく終了しました。今のところ、どうも僕が一番わかっていないのではないか、ということが判明してなかなかブルーでもありますが…。

2月8日(土)の夜

 今日、伸ばしていたヒゲを剃りました。僕は普段から肌が弱く、ヒゲを剃るとかぶれてしまうので、週に1回しか剃っていませんでした。ところが先々週、かぜを少し引いて、鼻をたくさんかんだ結果、鼻の下が荒れてしまい、剃りませんでした。それで、しばらくして剃れば良かったのですが、せっかく伸びてきたことだし、何となくどれくらい伸ばせるか見たくなってそのまま伸ばしていたのです。それでなんで今日剃ったかというと、まあ単に気持ち悪くなったというのと、もう一つは3週間もヒゲを伸ばしているのに、誰一人何も言ってくれなくて物足りなかったからです。僕はヒゲは薄いほうですが、それでも3週間も伸ばせば「ああ、ヒゲを生やしているな」くらいにはなります。でも誰も何も言わない。やっぱりこれが「自由の国」アメリカなのでしょうか(←大げさ)。

 あと今日はオースチン日本人会の新年会でした。昨夜は12時半まで料理の仕込みをし、今朝は10時から会場入りして料理しました。会自体は非常に盛大で150人くらいの参加者がありました。学部生とおぼしき若い人も多くてびっくりでした。これとは関係ありませんが、せっかくなので日本人会のニュースレター冬号に僕が書いたコラムをアップします。ろくに調べずに書いたのでかなり怪しいところもありますが、まあいいか、と思いまして…。

 それと、最近僕が送ったメールが届いていないということが、またしても頻発しています。頂いたメールには全て返信していますので、僕にメールを出したのに返事が来ていないという方はお手数ですがぜひお知らせください。それにしてもこれは何が原因なのでしょう。メールサーバー?、プロバイダー?、それともダイアルアップ接続?。いずれにしてもこれは大きなストレスです。ケーブルかADSLが欲しいなあ。

2月9日(日)の夜

 火曜日にエコノメトリクスの宿題の提出があります。水曜日に10ページのペーパーの提出があります。もう大変です!。

2月10日(月)の夜

 エコノメトリクスの宿題提出の前日の夜7時ですが、例によってまだ半分くらいしかできていません。今晩はこれから喫茶店に行ってやろうと思っています。ちなみに今日のオフィスアワーには、木曜日に宿題提出とあって、3人来ました。

 それと先ほどクイズ・ミリオネアを見ていたのですが、その問題の一つが「レクサスはどの日本の会社のブランドか?―A.トヨタ、B.マツダ、C.スバル、D.日産」というものでした。かなり後半だったのに「なんて楽勝問題な」と思っていたのですが、意外や意外、回答者は「アメリカの車会社だと思っていた…」と困った様子。結局、迷いに迷ってオーディエンスと50/50を使って正解しましたが、結構アメリカ人は知らないものなのですね。ひょっとして日本車と知られないというのは、トヨタの戦略なのでしょうか。ちなみにレクサスは日本ではウィンダムです(CMとかでもやってて、有名ですねこれは)。

2月12日(水)の夜

 この二日間は非常に過酷でした。入学した最初の学期以来のがんばりです。おとついは2時間睡眠。昨夜は夜中1時に寝て今朝5時起き、そのまま暗いうちに家を出て図書館と喫茶店でペーパー書きをしていました。でもその割には(あるいは、そのせいか)エコノメトリクスの宿題もアメリカ政治のコアのクラスのペーパーもあまり良い出来だとは思えません。ていうか、ペーパーに関してはUTに入学して以来、最悪の出来かもしれません。指示によると「10ページを超えないこと」ということなのですが、僕のペーパーは7枚と微妙な枚数です。やはり敗因としては、ここ最近ずっと計量や数理にばかり目がいってしまってすっかりサブスタンティブなことを勉強することを怠っていたことにあると思います。何ていうか勘が鈍っていました。今後は、もう少しこの授業に力を入れようと思います(ていうか、そうしないとヤバイ…)。それにしても日本人留学生の体験談を読むと「アメリカの大学では授業についていくのが大変で毎日3、4時間睡眠でやっている」とかたまに書いてありますが、これは本当なのでしょうか。僕は正直、こんな睡眠時間でやっていくことはできないと、今回つくづく思いました(最低毎日6時間は必要)。

 またこの疲れもあってか、今日のオフィスアワーに明日提出の宿題の問題について聞きに来た2人に、少し間違ったことを教えてしまいました。気付いたのは今さっき。残念ながら彼らのメールアドレスも名前も知りません(←こんなことではTA失格か!?)。実はこのクラス、宿題はあまり成績には関係無いし締め切りも厳守ではないので、深刻な事態にはならないとは思いますが、とりあえず明日彼らには訂正しておこうと思います。ちなみに今日来たのは今まで最多の5人でした。

 それにしても宿題とペーパーが返ってくるのが怖いです…。毎度のことですが、次回からはもっと前もってコツコツやっておこうと思います。

2月13日(木)の夜

 今日はTAをしている「政治学における統計分析II」のクラスの宿題の提出日だったのですが、驚くべきことに提出した人はゼロでした。13人もいるのに!。しかし、です。実際、驚いていたのは僕だけで、先生も含めてみんな、今日に提出するもんだとは思っていない風です。どうやらこのクラスの宿題は完全に、練習問題みたいなもんで、「期限までに提出する」、「良い点数をとる」というのが目的ではなく、「問題を理解する」というのが目的のようです。それが証拠に、僕が同級生にこのことを話すと、「当たり前だよー。去年のクラスだって提出日に提出していたのなんてタケシくらいなもんだよ!」とあきれられました。本気で知りませんでした…。去年、僕は提出日に遅れまいと、必死になって、しかも数式も含めて全てワープロ打ちで提出していたのに…。まあそれが評価されて今年、このクラスのTAになれたのかもしれませんが。

 それと今日は、来年度のファイナンシャルエイドの選考のための推薦状を二人の先生にお願いしました。一人はこの統計学のクラスの先生、もう一人はフォーマルセオリーの先生です。フォーマルセオリーの先生にいたっては、なぜかすごいよろこんでくれて、なぜか"Thank you"とか言われてしまいました。あとグラデュエイトアドバイザーでもある統計学のクラスの先生と、今学期にある僕のセカンドイヤー・レビューについて話し合いました。これはこれまで2年間の僕の進捗状況を確認し、今後の研究方針を定めるためのもので、3人レビュワーの先生を選ばないといけません。一人はアドバイザー、一人は僕の指名、そしてもう一人はグラデュエイトアドバイザーの指名です。僕はまずこの統計学の先生にレビュワーになってもらうことにしました。で、あと一人はこの先生が選びます。「誰が良い?」と聞かれたので、「特に選好はありません」と答えると、僕が1年のときにクラスをとったアメリカ政治の先生か、あとなぜか日本人の先生はどうだ?、と聞かれました。でも日本人の先生はクラスもとったことが無いし、僕の専攻と全く関係ありません。なので結局アメリカ政治の先生になってもらうことに。これからこの3人のスケジュール調整をしないといけません。

2月14日(金)の夜

 爆笑の記事をUTのホームページで発見しました。テキサスの調査会社がテキサス大学の委託を受けてテキサス州民を対象に「アメリカで良い大学と言えば?」という質問をしたそうです(UTの委託であることはもちろん教えず)。すると結果、1位:ハーバード、2位:スタンフォード、3位:UTオースチン…。まったくこんなことだから「テキサス人は世間知らずの田舎者で困る!」と全米からバカにされるのです。ちなみにその理由というのがまたおかしなもので、「知り合いが行っている」あるいは「自分が行っていたから」というのが多かったそうです。また回答者の94%が「UTは大変価値がある、テキサス州に良い影響をもたらしている」と考えていて、半分以上の人が「何も問題無い」と回答したそうです。まあ日本で「良い大学は?」と聞けば、東大、京大ときて、3番目に地元の旧帝大(仙台の人なら東北大、名古屋の人なら名古屋など)が来るのと似ているといえば似ているのでしょうか。

 あと今日は統計学のクラスのTAの仕事の一環として、「9時〜2時までコンピュータラボにいるので、宿題についてわからないことがあれば聞きにきてください」というのをしました。結局来たのは6人。そのうち一人提出です。まだまだ時間がかかりそうな人がいそうです。またアドバイザーの先生に会って、推薦状の依頼、セカンドイヤー・レビューの打ち合わせ、学会報告についての相談をしました。学会でPower Indexについてディスカッサントをしないといけない、というと参考文献を教えてくれました。難しそうです…。

2月15日(土)の夜

 今日はオースチンのダウンタウンで開かれた反戦集会および反戦デモに参加してきました。僕はアメリカ市民ではないし、正直なところ反戦デモに参加してまで反戦を訴える気持ちは無かったのですが、デモがどんな感じか一度見てみたかったのです。この日の反戦集会・デモは世界各地で連動して行なわれたもので世界でのべ600万人が参加するなど、ベトナム戦争以来の大規模なものだったそうです。オースチンの参加者は主催者発表によると1万人だったそうです。集会は主催者の一人であるUTのジャーナリズムの教授の演説によって始まりました。この人はUTで一番の左翼とおぼしき人で911直後には「このテロはアメリカのこれまでの外交政策によって引き起こされた」と発言して物議をかもし、学長からも批判を浴びた人です(ちなみにUTジャーナリズム専攻にはブッシュが選挙運動期間中に掲げていた「温情ある保守主義」"Compassionate Conservatism"のアイデアをブッシュに伝授した教授がいます)。彼はなかなかのアジテイターで、テンポの良い調子、大きなよく通る声で「われわれのホームタウン出身の坊や(boy)を止めなければならない!」などと、どんどん参加者を煽り、参加者もそれにプラカードを振ったり、大声を出したりして応えます。その後集会は様々な立場の人々の演説によって進行していきます。この集会で演説した人のバックグラウンドとしては、民主党市会議員、下院議員、学生反戦運動家、フェミニスト団体のNOW(National Organization for Women)、環境保護団体のシエラクラブ、イスラム教徒団体、反戦退役軍人会、大学教授、社会主義者、ミュージシャン、クリスチャンの団体などがありました。
 一般参加者の顔ぶれとしては、やはりヒッピーっぽい人も少なからずいました。それにしても疑問なのが、結構軍モノの服を着た若者が多かったことです。もちろんベトナム戦争当時で帰還兵が軍服を着てベトナムの惨状を伝え、反戦を訴える、というのならわかりますが、年齢からして明らかにそうではありません。反戦なのになぜ軍モノ!?。プラカードの種類も実に様々で、それぞれ工夫を凝らしています。僕が一番面白いと思ったのは、ビン・ラディンの絵が描いてあって、「私はアメリカがイラクに侵攻してほしい」と言っているものです。政権内の人物をコケにしたプラカードがありましたが、槍玉に上がるのが多い順番としてはブッシュ、チェイニー、ラムズフェルドで、僕が見た限り、ライスとパウエルをコケにしたプラカードはありませんでした。
 僕は日本でもこの種の反戦デモに参加したことがありますが、大きな違いとしては今回のデモには労組の動員が無いということがありました。日本のデモだとそれぞれ労組が「○○労連××支部」などというノボリを掲げて、それぞれ固まって行動しており、実際参加者の大部分をそういう人たちが占めていたりしますが、今回のデモには労組の存在は無いようでした。政党関係ではグリーンパーティとリバータリアンパーティが少し関与していたようです(この両党が共闘するのは実に変な感じです)。それと日本と共通の部分としては、「プロ」の参加者がいたのではないか、ということです。そういう人たちは往々にして、「反戦を訴える」ということよりも、こういう場を利用して人々をアジテイトすること自体が楽しくてやっているような感じで、実に不愉快です。無理やり寒いフォークソングを歌おうとしたり…(日本の反戦デモで歌われたのと同じ歌もありました)。あと「ファッション」として参加している、あるいは反戦集会に参加している自分に酔っているような人も少なからずいたような気がします(もちろん僕は人のことを言えません)。でも参加者の多くは実に普通の市民で、「変な人」の割合ははるかに日本のデモよりも少なかったと思います。また黒人参加者の数が若干少なかったような。
 集会は2時間くらい続いた後、デモに入ります。州議事堂前の目抜き通りを全て車両通行止めにして行なわれました。通行止めをくらった多くの車も、クラクションを鳴らし、窓から手を振ったりして、デモの隊列を応援します。最近の世論調査では約70%を超えるアメリカ人が「戦争やむなし」と考えているとのことですが、この光景を見る限り信じられません。デモの隊列は500メートルほどで流れ解散となりましたが、いつまでも余韻に浸る人々で終着点はにぎわっていました。やはり最後には妙な連帯感も生まれ、きっとこういうのが好きでデモによく参加する人もいるんだろうなあ、と思いました。写真を撮りましたので「写真館」のページにアップさせて頂きます。

2月17日(月)の夜

 風邪をひいているわけでも無いのに、体調が優れません。一日中寝ていたい気分です。それに肩が凝って仕方ありません。先ほどお湯をためてフロに入り、バンテリンを塗りこんだのですが、いまいちです。こんなことではダメです。なんとかしないといけないのですが、何ともなりません。自己嫌悪です。

 それと「届かない」と言っていたメールですが、今日いきなり大挙して届いたみたいです。方々から「2通届いた」とか連絡を頂いています。実に発送から4日間。何が原因なのでしょうか。UTのサーバを使っている他の人に聞いても何も問題が無いと言います。またオフィスからLANで繋いで送ったメールは問題無いことから、やはりUTのサーバには問題は無さそうです。そうなると、やはりAOLか、ダイアルアップ接続でしょうか。そろそろケーブルを入れるべきなのかもしれません(月額約40ドル)。

2月18日(火)の夜

 やはり依然としてどこかおかしいようで、今日は睡眠不足でもないのに、帰宅後食事をして6時から10時まで吸い込まれるように爆睡していしまいました。肩のこりがひどいです。

 それと今日のエコノメトリクスの授業で前回の宿題が返ってきました。結果は82点。少なくとも良くは無さそうですが、どのくらい悪いのか検討もつきません。よく見ると小問でまるごと10点引かれている箇所があり、少し良く見てみる必要がありそうです。それにしてもこれほど「Bをとるかもしれない」とプレッシャーを感じる授業は今までで初めてです。最近は少し人数も減って、全員が教室で着席できるようになりました。

 あと昨日、何となくテレビを見ていてすごい番組を見ました。内容は子どもが本当に全て自分の子どもかDNA鑑定をするというもので、子どもを認知しない、あるいは「自分の子どもではないのではないか」と思っている男性が奥さんと5人の子どもを連れて出ていました。番組中、順番にそれぞれの子どもについての結果が発表され、結局全員この男性の子どもと判明しました。奥さんは「それ見たことか!」とガッツポーズを繰り返し、その横で男性は気まずそうに子どもの手をとります。やらせなのかもしれませんが、何ともすごい番組です。もしこれで子どものいる前でその何人かは、その男性の子どもでない、とわかればその子どもはどうするのでしょうか。今回限りの特番かな、と思ったのですが、どうも毎週やっているみたいです。

 メールが末期的です。先ほどから自分の複数のアドレス宛に何通も送っているのですが、1通も届きません。しかもたちが悪いことに「送信に失敗した」とのエラーメッセージも出ません。きっとサーバのどこかに溜まって、4日後くらいに突然送られるか、自分の所に返ってくるのではないかと思います。僕はこの辺の知識はありませんが、直感的に、ダイアルアップ接続でこのUTのサーバにアクセスしているのが良くないのではないかと思います。ダイアルアップはケーブルやADSLなどのブロードバンドに比べて差別されているとか…。まあ推測の域を出ませんが。

2月19日(水)の夜

 今日の「政治の制度と過程」のクラスでは予想に反して先週提出したペーパーは返却されませんでした。いずれは厳しい現実に直面しなければいけないとはいえ、少しほっとしました。ところでこのクラスではアメリカ政治学の理論を中心に勉強しています。文献は、入門科目なので「これは必ず読んでおかなければいけない」という感じの一昔前の定番というか、古典が多いです。例えば投票行動ならAmerican Voter、利益団体ならThe Logic of Collective Actionなど。この時代の本は読んでいてつくづく理論の大切さを思い知らされます。やはり実証研究なしでも価値があるような理論的研究もできるようにならなければいけないなあ、と痛感します。またこのクラスではペーパーを3回書く機会があるのですが、それぞれ論題がいくつか示されており、その中から一つ選択です。例えば次回3月26日提出分の論題8個のうちいくつかを紹介すると(非常に「硬い」訳ですが)、

3.プシェボルスキーとウォーラーステインは第二次大戦後の福祉国家に制度化された社会・政治的な妥協を撤廃しようとする"right wing project"の存在を主張する。ミッチェルとマンガー("Economic Models of Interest Groups")における議論、特にこのコンテキストにおける"the Virginians"について評価せよ。

4.バウムガードナーとジョーンズは多年にわたって、利益団体と「政策独占」(鉄の三角形)についてもっともオリジナルで重要な業績をあげてきたといわれている。どのように、そしてどのような立場に彼らの分析は立脚し、この問題に関する重要な洞察を生み出したか。またどのようなより良い、あるいは異なる説明を求めることができるか。

5.政党は先進資本主義デモクラシーにおいて明らかに重要である。"Nature and Consequences of One-Party Factionalism"におけるキーの分析の提案的発明を、初期条件として扱い、そこから、政党による貢献の実証的な議論に戻りなさい。グラムシあるいはシャットシュナイダーの議論を含む、あるいは1968年以降の「候補者志向の政治」(ワッテンバーグ)の台頭とそのインプリケーションを含む比較をしなさい。

 ちなみにバウムガードナーとジョーンズはアジェンダ・セッティングの研究で有名なテキサスA&Mの先生です(最近アジェンダ・セッティングの研究は流行らないみたいですが)。テキサスA&Mはアメリカ政治に特化して強い大学で、その意味で「いかにも」という研究です。またワッテンバーグは現在UCアーバインの先生で、この授業の先生が前にいた大学のPh.D.であり、ワッテンバーグの本の推薦文を書いていることなどからおそらく、この授業の先生の弟子ではないかと思われます。実は僕はこのワッテンバーグ先生とは一度会ったことがあって、1998年に同志社で日本政治学会があったときバイトで関西空港までこの先生を迎えに行ってホテルまで送り届けたり、ホテルからレセプションの会場まで案内したりしました。その当時はこの先生が何者なのか全く知りませんでしたが、今になって授業の文献として出会うとは何とも奇妙な感じです。もちろん僕のことなんて覚えていないと思いますが。
 あと、今日の授業でローウィの例の有名な「公共政策には分配、規制、再分配の3つのアリーナがあるんだ」という論文の要旨をまとめて報告したのですが、先生に"Good job!"と誉めてもらえました。授業開始2時間前くらいからやったのですが、最近はこの手の作業はだいぶできるようになったと思います。問題はペーパーでの自分の論点、視点です…。

 しつこいですが、メールがもうダメです。2通に1通しかまともに届きません。普段使っているベッキーが悪いのかと思って、ベッキーの最新版をダウンロードして使ってみたり、アウトルック・エキスプレスを使ったりしましたが、結局改善が見られません。やはりAOLからの接続ということに問題があるのでしょうか。

2月20日(木)の夜

 ずっと勉強面での原因不明の不調が続いていたのですが、今晩からようやく回復の兆しが見え始めました。思うに、僕は追い詰められるよりも時間に余裕があるときの方が勉強がはかどる傾向にあるようです。何とか今週末はこのまま乗り切りたいものです。あと、TAをしているクラスの宿題の採点ですが、現在締め切りを一週間過ぎて提出者は13人中6人。しかも提出されたものを見ても結構ひどかったりします。去年の僕はどうもこのクラスの宿題を必死にやりすぎていたみたいです。僕は去年の2月20日の日記に以下のように書いています。

「これから急いで明日提出の統計学の宿題を仕上げます。一通りやってはみたものの、いくつか分からないところや不明確なところがあり、今日学校で同級生数人に聞いてみたものの、一応やったけど僕と同じところがわからない人1名、まだ始めてもいない人3名で、全然意味がありませんでした。みんな僕を油断させようとウソを言っているのだろうか…。」

どうも油断させようとも、ウソを言っている訳でもなかったみたいですね…。単に「やってなかっただけ」という。ちなみに次の日の日記を見ると、午前5時半までかかってこの宿題を仕上げたみたいです。こんなことをしている人、今年のクラスにはいないと思います。今から思えばアホみたいです(→自分)。

2月21日(金)の夜

 テキサスA&Mにいる後輩から指摘を受けたのですが、おとついの日記でA&Mの先生として紹介したバウムガードナーとジョーンズはもうすでに二人ともA&Mにはおらず、別の大学に移ったそうです。やはりこれがUTを含む中堅大学の悲しい所。良い業績をあげた人はすぐに別の大学から引き抜かれて出て行きます。まあ研究者の世界というのはこういうものなのでしょうが…。引き抜かれるといえば、今朝、ある教授から政治学部のメーリングリストにメールがポストされて、それによると来学期からスタンフォードに移るとのこと。この先生はテキサス大学にそのセンターがあるところのデリバラティブ・ポーリングの第一人者で、スタンフォードに新しいセンターを作りそれを指揮するということでした。つまり中心地の移動です。デリバラティブ・ポーリングという研究テーマは、この先生が10年以上前から取組んでいるもので、UTにそのセンターを建設してまでその普及に取組み、今年までに世界20カ国以上で開催されています。最近はだんだんと脚光を浴びつつあり、この日記にも書いたとおり、先日のフィラデルフィアでのデリバラティブ・ポーリングは日本からNHKが取材に来てBS特集として放送したくらいです。そしていよいよこれからますますメジャーになろうかというとき、今回の先生の移動、およびスタンフォードでの新しいセンターの建設です。まったくUTはスタンフォードに「おいしいところ取り」をされたような格好です。野球で言えば大事に育ててきた生え抜きの主力選手を巨人に引き抜かれた他球団といったところでしょうか…。

 それと今日、日本からわざわざ取り寄せていた本が届きました。武藤滋夫、小野理恵.1998年.『投票システムのゲーム分析』.日科技連です。これは、僕が公共選択学会のパワーインデックスの分科会でディスカッサントをしなければいけない関係上必要な勉強をするためで、言うまでも無く「超付け焼刃」です。まあ僕なんかにそんな大したコメントを求めていないだろうし、また僕もテクニカルなことは絶対に何も言えないと思うので、せいぜい論文を理解するために勉強するつもりです。アドバイザーの先生が教えてくれた本も注文しなければ。あと、フォーマルセオリーといえば、毎週金曜日の午後にもはめど氏と僕が共同で開催しているフォーマルセオリーの勉強会。回を重ねるごとに人が減って、今日はついに、僕ともはめど氏と先輩でフォーマルセオリー専攻のアメリカ人だけになってしまいました。しかもまだPositive Political Theory Iの第1章を読んでるし…。僕の「フォーマルセオリー使い」への道のりはまだまだ険しそうです(いや、別に「使い」になりたいわけではありません。「理解できる人」になりたいのです…)。

2月23日(日)の夜

 火曜日提出のエコノメトリクスの宿題が終わりません!。私立文系の限界を感じます。何を理解するにもすごい時間がかかるのです。だいたい行列にしても先学期一からやり直したくらいですし、ちょっと難しい微分・積分となるとさっぱりです。高校生の頃を思い出します。「経済学部は文系なのに数学が要るらしい」、「じゃあ政治学なら要らないな…」などと考えていたような気がします。当時は計量・数理なんかよりも思想の方に全然興味があって仮に経済学部に行くとしてもマルクス経済学を勉強したいと思っていました(もちろんこのご時世にマル経を専攻する「意味」なんて当時は考えたこともありませんでしたが)。昨日からずっと、理解するのに時間がかかる→根気が続かずダラける→自己嫌悪→再び机に向かう→理解するのに時間がかかる→…の悪循環を繰り返しています。でも一度始めたこと。もう後戻りはできません。今晩は徹夜です。

2月25日(火)の昼

 奇跡です!。奇跡が起きました!。昨夜からの冬嵐のため、今日の授業が全部キャンセルになったのです。もちろん宿題の提出だったエコノメトリクスのクラスもキャンセル。先生から「提出は木曜日に延期」とのメールをもらいました。しかも中間試験があるはずだったフォーマルセオリーのクラスもキャンセル。おとついから今日にかけては本当にいつ寝ていつ起きていたのか分からないくらいだったのですが、全然はかどらず、宿題をやるよりもむしろ計量の本を読んでまず授業の中身から理解することに時間がかかっていました。昨夜もとりあえず、フォーマルセオリーのテスト勉強と、今日あるはずだったTAのクラスの宿題の採点をして、一旦3時に就寝し、5時に起きてエコノメトリクスの宿題をやっていたのですが、「時間はかかるが簡単」と踏んで最後に残しておいた大問一つを残して、家を出なければいけない時間まで1時間となりました。微妙に無理な時間です。「どうしよう」と絶望していたのですが、そこに大学からのメールが。「11時から大学を開ける」とのことだったのが、「今日の授業は全て中止」という決定に変わったとのことでした。

 このところの気候は完全におかしく、おとついは気温が25度近くまで上がって暑かったのに、昨日の夕方からはみぞれまじりの雨とともに氷点下にまで気温が下がり、昨夕はオフィスアワーのために2時間オフィスに行って、帰るころには建物の前にとめておいた自転車が完全に凍っていたくらいでした。昨夜は嵐となり、オースチンの一部では停電も起き、車の事故が相次ぎました。ただし、寒いといっても吹雪ではなく、小さな氷の塊のみぞれで、それが窓に当たってパチパチいっていました。さっき「授業がキャンセル」との報を受けてから、一応TAのクラスのこともあるからどんな感じかだけでも見に行こうと大学まで行ったのですが、道に積っているのは雪ではなく、カチカチの氷でした。そのため車がすべりやすく、歩いている間にも何回か急ブレーキを踏む音が遠くから聞こえていました。大学に行く途中は人通りや車がほとんどなく、大学も人気は無く、建物もカギがかかっていて、TAをしている先生のところに行くまでもないな…と思ったので、そのまま帰宅しました。やはり普段暖かいオースチンだからこそこんなに騒ぎになるし、都市機能もストップするのでしょう。日本ではこれくらいで学校が休みになったりしないと思います(アメリカは車通勤、通学の人が多いという事情もあるのでしょうが)。

 エコノメトリクスの宿題ですが、前の日記にも書いたとおり、僕の数学の基礎学力不足のため、かなり苦しんでいます。特に漸近理論が理解できません。以下のような問題があるのですが、これはどうしたもんでしょうか。

もしOLSエスティメータのconsistencyを調べろというのであれば、何も理解していなくてもただ教科書を写せば良いのですが、この問題は本当に漸近理論(asymptotic theory)を理解していないと解けないようになっているのではないかと思います。まあ問題の場所的に簡単な問題なのだとは思いますが、僕には理解不能です。また、今までの宿題では統計分析をするのにLIMDEPを推奨されていたものの、STATAを使っていました。でも今回の宿題でラグランジュ乗数検定をしなければいけないのですが、STATAでそのコマンドが見つかりません。無いはずは無いと思うのですが、いずれにせよ少し時間ができたことだし、LIMDEPを覚えるべきでしょうか。ああ、やらなければいけないことがたくさんある!。

2月26日(水)の夜

 もう本当にしんどいです。肉体的にも精神的にも。やはり今学期はやらなければいけないことが多すぎます。そしてそれら全てにおいて中途半端。アメリカ政治のコアのクラスの第一回ペーパーも今日の授業で返却されたのですが、絶対に悪いと思ったので、見ずにそのまま封印しました。僕は非常に打たれ弱いので、この調子の悪いときにそんなのを見ると余計に落ち込みそうだからです。このままでは授業、学会報告、TAの仕事、来年度の財政援助の選考、セカンドイヤー・レビュー、全てが悪い結果になりそうです。がんばって自分を奮い立たせようとするのですが、なかなかできず、早く今学期が終わって日本に一時帰国したい、という気持ちで一杯です。ただ今はリラックスするよりも、気合を入れてがんばったほうが絶対に良い方向に繋がると思います。某政治学系のホームページの日記に先日、

1. 忙しくてストレス過多
2. 現実逃避
3. 眠くなる
4. ああこの忙しいのに何やってるんだ…
5. 1に戻る

と書いてありましたが、まさに今この輪の中に僕はいます。これを繰り返してどんどん落ちていっている気分です。「力一杯がんばった!」そう思える1週間を送れれば今の状況を打破できるような気がするのですが…。

2月27日(木)の夜

 今日はTAをしているクラスで、採点した宿題を返却し、次の時間、何とかエコノメトリクスの授業の宿題を提出し、さらにフォーマルセオリー入門の中間試験を受けました。試験の出来としては、まあ落ち込まない程度にはできたと思います。ただ、超ボーナス問題、フツーに考えたらできるやろ!という問題を一問間違えました。
 さらにその後、セカンドイヤー・レビューの日程について打ち合わせるため、一人の先生の所へ。「他の二人は誰なの?」と聞かれたので答えると、親指を立てて"Good! It's easy!"とのこと。僕も、このコミティーのメンバー的にお互い相性は良いだろうと思っていたのですが、どうやらその通りだったようです。本当にうまく行くと良いのですが。

 あと、どうやら本当に来週の金曜日にハーバードのゲイリー・キングが来るみたいです。今日学部の建物に、トランプの「キング」の図柄をあしらった、分かりやすすぎるポスターが貼ってありました。きっと学部の事務員さんたちが「キングだけにキング!?、ププッ!」と内輪受けしながら作ったのでしょう。本人がこれを見てベタ過ぎてむかつかなければ良いのですが…。ちなみにどうもキングを呼んだのは、UT政治学部に二人いると思われる大物と呼べる先生のうちの一人で、やはり方法論専門の人です。教室は、設備の関係か、それともたくさん人が来るのを見越してか、いつもとは違う教室です。とりあえず有名人を見れる、というだけでうれしいです(そういえばちょうど去年のこれくらいの時期にアーサー・ルピアが来ましたね…)。

 今晩はまたしても半徹夜でペーパーを仕上げないといけません…。耳の裏から顎、肩にかけてが腫れていて何だか痛いです。

2月28日(金)の夜

 今これを大学の自分のオフィスから書いています。今晩はアパートに帰らずここでペーパー書きをする予定です。本来ならペーパーは今日の午後には終わっていたはずでした。現在に至るまでの顛末はこうです。昨夜はやはり連日の睡眠不足で異様な眠さに襲われ、夜遅くまで起きていることはできませんでした。それで今日の早朝に起きて6時くらいから大学に行って大学のパソコンでペーパーを書いていました。正午くらいには90%くらい出来たので、いったんセーブして昼食をとりに帰宅しました。その時、自宅のパソコンで開けようとしてみたのですが…開かない!。いつまでもディスクドライブがうなり続け、システムがビジー状態になってキーがロックされ、強制終了もできず、電源をブチ切りするしかありませんでした。何度かやったのですが、結果は同じ。同じフロッピーに保存してある別のファイルは開けます。なのでフロッピーの問題ではないようです。きっと保存の仕方が悪かったのかもしれません。今まで書いたのを全部書き直すのかあ、と思ったら絶望的な気分になり、そのまま昼寝してしまいました。
 その後3時には例によってもはめど氏との共催のフォーマルセオリーの勉強会に。日増しに参加者が減って、今日はいつも来てくれるフォーマルセオリー専攻のアメリカ人の先輩も用事で休みで、結局参加者は僕ともはめど氏の他は、今回初めて参加した韓国人の1年生のみ。内容的には以前よりもだいぶ楽になってきているのですが、それでも初参加の彼には厳しかったようで、終始ボケーとしているのみ。彼は次回来るのか!?。この勉強会は普段4時半までやっているのですが、今回は僕がエコノメトリクスの授業のレビューセッションに行かなければいけないことから、4時に終了。レビューセッションに行く途中、大学のパソコンでフロッピーのファイルが開けるか試したのですが、なぜか成功。それをホットメールに添付して自分に送っておきました。
 レビューセッションは2週間に一回ある宿題の提出日の二日後にもたれており、宿題の回答と解説をします。回答は提出日の夜にホームページ上にアップされます。したがって遅れて提出することはできません。僕は今までこの時間はフォーマルセオリーの勉強会と重なっていたため、一回もレビューセッションには参加したことがなく、今回が初参加でした。教室は普段の教室の半分くらいでほぼ満席。つまり出席者の約半分が来ているくらいです。参加者の構成比としては、授業のときよりも中国人の割合が増していて出席者の半分以上を占め(つまり中国人の方が出席率が良い)、しかも教えるTAも中国人なので、「留学生の多い北京大学の授業」と言っても不思議は無いくらいです。TAはあまり英語が上手ではなく、緊張のためかよく回答の導出も間違います。きっと彼女もTAセッションじゃなかったらこんなことは無いのでしょう。教える人も中国人、教わる人も半分以上が中国人という状況で、もし「最大多数の最大幸福」という功利主義の命題を掲げるなら、このクラスでは中国語で授業が行なわれるべきなのかもしれません。
 それが終わると、ウェンディーズに寄ってセットメニューをテイクアウトし、オフィスで食べ、メールでペーパーを受信し、現在にいたります。さっきペーパーを提出した韓国人の友人のペーパーを見せてもらうと、彼は数学があまりできないはずなのに結構高度なことをやっているっぽいです。うーん、プレッシャーです。ある意味今日の午後にあせって出さなくて良かったかもしれません。このペーパーは先学期インコンプリートした最尤法のクラスのペーパーで、3月の上旬に財政援助の選考があることから、それまでに成績を出すために仕上げるべきものとされています。今の今まで伸ばしてしまいました…。カネがかかっている分、気持ちがしんどいです。ちなみにオフィスに遅くまで残って勉強するのは今回が初めてです。日本での大学院時代はよくやっていたのですが、あまりそれが続くと心がすさむのであまり良いとは思えません。短期集中決戦でさっさと終わらせたいと思います(←だったらこんなダラダラ、日記を書くな、という感じですが)。  

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