2005年8月の日記
8月1日(月)の昼

 9月初旬にワシントンDCで開かれるアメリカ政治学会に行くべく、航空機とホテルの手配をしました。ノースウエスト航空でオースティン発、デトロイト経由、ワシントンDC(ロナルド・レーガン国内空港)で往復187ドル。日本の大学院時代にミシガン大学のICPSRに参加するため初渡米したとき以来のノースウエスト航空利用です。ノースウエスト航空のマイル会員にはこれまでなっていなかったものの、今回の学会では発表しないため学部からお金が出ないということもあり、安いチケットに目がくらみました。アメリカン航空やユナイテッド航空ならあと40ドルは高くなります。ワシントンDCには3つ空港があり、概して一番安いのはボルティモア=ワシントン国際空港なのですが、ここは最も中心部から遠く、アムトラックで片道14ドル、30分かけてDC入りしないといけません。その点レーガン空港(ただしワシントン人は誰もレーガン空港とは呼ばず、単に"National Airport"と呼ぶらしい)は地下鉄で20分ほどで中心部に行けます。
 ホテルは例によってテキサスA&Mの後輩と1泊99ドルの部屋をシェアします。場所はデュポンサークルという繁華街です。できれば今回は時間を見つけて国立公文書館に行って、ナマの独立宣言を見たいものです。

8月2日(火)の夜

 前の日記で「社交を絶ってでも孤独に博士論文に取り組むべきだ」みたいなことを書いていた割には、明日からInternational Officeで新入の留学生受け入れのボランティアを始めます。Welcome Centerというデスクで住居や生活のセットアップ、留学生歓迎イベントなどの案内などをする予定です。朝8時半から1時までなので生活の良いペースメーカーになるかなあと思っています。

 新たにThe Nationという政治評論誌を購読し始めました。この雑誌は民主党の左派の考えを代表するもので、メジャーどころでは最も伝統的なリベラルの思想を体現していると言えるものです。以前から購読しているアメリカで最も伝統と格式を誇るThe New Republicも民主党系ですが、親イスラエルなのでことイラク戦争に関しては割と好意的で、保守系雑誌と明確な区別がつきません。また国内政策に関してもThe American Prospectと同様、民主党中道というかネオリベラル的な保守寄りの姿勢が見られ、基本的に市場での競争やその結果としての不平等を認め、行き過ぎた福祉に懐疑的だったりします。まあこれらは最近のアメリカの自称「リベラル」の代表的な考えなんでしょうが、僕としてはやはり伝統的なリベラルが昨今の政治をどう考えているかに興味があるわけです。

8月3日(水)の昼

 とりあえず午前中、International OfficeのWelcome Centerでのボランティアをしてきました。でも秋学期が始まるまでにまだしばらくあるためか、3組ほどを「接客」(←!?)したくらいで、全般的にヒマでした。新入留学生向けの情報に目を通している中で今回初めて知ったのですが、今学期から留学生に適用される主要な法改正に「仕事の無い学生はSocial Security Numberが取得できない」というのがあります。これが実際どのような影響を留学生の生活に及ぼすのかははっきりわかりませんが、色々と面倒なことが起きる可能性がありそうです(もちろんすでにSSNを取得している留学生には関係ありません)。おそらく車の免許の取得や銀行口座の開設ではそんなに問題は無いようですが、携帯電話の購入が難しくなりそうとのことです。また電気の申し込みも特別な手続きが必要になるとか。僕がオースティンに来たときにはまだ911のテロは起こっておらず、結構簡単に何でも生活の立ち上げに関することができたのですが、昨今はそうでもないようです。

8月4日(木)の夜

 International Officeでの二日目。朝8時半からの「出勤」はいかにも「働いてる」という気がして気持ち良いです。大学時代のホテルのバイトを思い出します。社会で働くことはもちろん大変ですが、学生でいたのでは味わえない充実感もあると思います。こちらでの博士課程の大学院生の生活はコースワークが終わってしまうと基本的に自由で、その割に勉強が進まないときなどは自己嫌悪に陥って、煮詰まってしまって、憂鬱な気分にどんどんなっていきます(先学期がそんな感じでした)。ただ一方で前にも書いたとおり、こうした本来味わうべきでない充実感は博士論文執筆の敵でもあります。午前中International Officeで働くともうそれだけで何だか一仕事したみたいになって、「終わって」しまいます。TAの仕事も同様です。それでは博士論文が進まないのは当然です。やはり博士論文一本に集中して、執筆以外では充実感が味わえないような状態に身を置き、孤独に耐えつつがんばらなければいけないのかもしれません。
 ところでInternational Officeで働く人々はみんな僕も含めて留学生に対して異様にフレンドリーです。悪い言い方をすれば偽善的なまでにフレンドリー、あるいはフレンドリーな雰囲気をわざとかもし出そうとしているかのようです。まあ国際交流とか国際理解がモットーなんだからそういうのも当然なんでしょうが、何だか気持ち悪くなります。きっとみんな民主党支持者だと思います。あとこの感じは留学して最初の2年通ったクリスチャンの団体にも似ています。ただし彼らは共和党支持者でしたが。
 またアメリカ人に囲まれて仕事をしていると必然的に英語でよくしゃべることになります。大学院は何だかんだいって孤独に勉強するところなのでそんなに英語でしゃべる機会はありません。なので、こんなに英語を話し、アメリカ人と意思疎通を絶え間なく繰り返す環境は僕にとってほとんど初めてだと思います。同じ部署に僕のようなオリエンテーション期間のボランティアではなく、パートタイムの職員として勤めている韓国人のundergraduateの女子学生がいるのですが、まだ2年しかアメリカにいないのに驚くほどに英語が上手です。おそらく政治学部の韓国人大学院生の誰よりも上手でしょう。彼女に限らず概してundergraduateの学生は、大学院生と違ってグループワークなどがあるためか、英語の上達が早いような気がします。

 全然関係無いのですが、愛国主義で知られるケーブルテレビ局、「チャンネル桜」で無料ネット配信されている「闘論!倒論!討論! 2005日本よ、今... 反日アジアと憲法問題」という番組をたまたま見ていると、左派の論客として元赤軍派議長の塩見孝也氏やブント代表の荒岱介氏らとともに、頭脳警察のPANTAが出ていました。頭脳警察は70年代前半に活躍した反体制派左翼のロックバンドで、「赤軍兵士の歌」、「世界革命戦争宣言」などの過激な曲や三里塚闘争への参加などで物議をかもしました。僕はこの頭脳警察を遠藤ミチロウのスターリンとともに高校の先生から教わり、高校時代はよく聞いていて学園祭でギターの弾き語りをし、会場をドン引きさせたものです。そんなPANTAですからどんなすごいことを言ってくれるのかと期待してその番組を見ていたのですが、何だか大人げのあるユルい発言だし、物腰も謙虚な感じで柔らかいし、正直少し拍子抜けしました。まあ世の中っていうのはそういうものなのかもしれません。頭脳警察を教えてくれたこの高校のときの先生(京大の学生運動上がりで、当時もフィリピンの反政府運動を支持していた)にしても、その先生を同じくリスペクトしていた友人とともに、先生の家に行ったときのこと、期待していたようないかにも活動家らしいすさんだ長屋暮らしなどではなく、山手の住宅街の新築の家にしかも車二台所有というのを見てがっかりしたことが思い出されます。
 それにしてもチャンネル桜、こういう左派の人々を討論番組に出演させるあたりただの愛国保守のテレビ局じゃないなあと感心します。

8月6日(土)の夜

 分かる人にしかわからない話で恐縮ですが、WinEdtとLaTex、WinEdtとRのことで無駄に時間を過ごしています。まずWinEdtとLaTexの件ですが、LaTexのファイルをWinEdtで作り、"LaTex"と"BibTex"のアイコンを使ってコンパイルし、LaTexファイルと同じフォルダにdviファイルを作りました。ここで"DVI Preview"というアイコンがアクティブになるのですが、この"DVI Preview"アイコンを押しても、このdviファイルが見れません。"cannnot run"とか変なメッセージが出ます。フォルダにあるdviファイルを直接クリックすれば、WinEdt以外のアプリケーションでdviファイルが見れるようになるのですが、もちろんWinEdtの便利な機能は使えません。無理やりWinEdtで開こうとしても、"viewer"としては開けず、意味の無い文字列の羅列になってしまいます。この問題に関してネットで検索したところ、WinEdt関係の二つのフォーラムでこの問題に関する質問が出ていました。でも結局それに誰も答えていませんでした。もちろんWinEdtのヘルプには載ってないし、こういう場合WinEdtに直接問い合わせたら答えてくれるのでしょうか(30ドル払って購入しているわけだし)。
 またWinEdtでRを使うためには"R-WinEdt"というプラグインが必要なのですが、これを入手したもののどうやってインストールすれば良いのかわかりません。別のやり方としてRから"install.packages('RWinEdt')"と打ち込むことでRのサポートサイトのパッケージのフォルダから入手できるとのことですが、これも'RWinEdt'というパッケージが見つからない、とエラーが出ます。
 こういう勉強や研究とは関係ないことで時間がとられるのはイライラします。

8月8日(月)の夜

 メールおよび掲示板でアドバイスを頂きました結果、WinEdtとRの問題は解決しました。本当にありがたいことです。

 今日の午前中のInternational Officeでのボランティアでのこと、ロシア人でシベリアの町出身だという人がいたので、「日本での学生時代、シベリア鉄道にあこがれてチケットまで買ったんだけど、親に危険だからと反対されて結局断念した」ということを話ました。僕は「そんなアホな!」という彼女のリアクションを期待してそう言ったのですが、彼女は真顔で「それはいつのこと?」と聞いてきます。僕が「96年だ」と言うと「たぶんあなたの親は正しかった」との答え。現在は民営化されてだいぶサービスも治安も良くなったものの、90年代初頭から中頃にかけては地元ロシアの人でも鉄道には乗りたがらなかったとか。どうやら僕の考えは甘かったようです。

 昨日オースティンの日本人料理人の人から聞いた話では、オースティンには日本料理店は53軒あるのだとか。ただしそのうち日本人経営は10軒も無いそうです。人口202万人のヒューストンが80軒とのことですから、人口68万人のオースティンに53軒というのは結構な割合です。ちなみに日本料理店に限らず、オースティンは人口一人当たりのレストランの数で全米一番なんだそうです。

8月9日(火)の夜

 今朝大学に来てパソコンを立ち上げようとすると、"winlogon.exe"のアプリケーションエラーが出て、起動できませんでした。あせって色々と学部のパソコンを使って調べたのですが、どうもOSの再インストールしか解決方法は無い模様。それでも最後の頼みとして大学のパソコン関係のヘルプデスクへ。一通りメモリーのチェックなどをしてもらったのですが、特に異常は無く、結局再インストールしか無いという結論に至りました。僕が恐る恐る「パソコンの中のファイルやアプリケーションはどうなるんですか?」と聞くと、「大丈夫。そのまま保存される」とのこと。「ほんまかいな」と思ったのですが、その言葉を信じる他無くリカバリーCDを使って再インストールすることに。結果、若干起動に時間がかかるようになった気がするものの、ファイルもアプリケーションもそのままに問題が解決されました。Window XPって、再インストールしてもファイルやアプリケーションや設定は失われないんですね…。今回初めて知りました。

 おとついの日本人の集まりで聞いた、ハリバートンと同様の石油関連サービス会社に勤める友人(僕と同い年でUTの石油工学Ph.D.)の話によると原油価格は上がっているものの、産油量としてはむしろ増えているとのこと。石油業界としては1バレル=10ドルで採算ギリギリ、20ドルで確実に儲けが出る、30ドルで大もうけ、40ドルで「このカネどうやって使って良いかわかんないよー」となるそうなのですが、そうすると当然1バレル=60ドルの現在はあり得ないくらいの儲けが出ているそうです。この原因としては投機的な原油の売り買いや、アメリカ政府がこれで良いと思っているということに加え、単に「これまでが安すぎた」というのがあるそうです。石油の価格はここ数十年、全体としての物価の上昇に関わらず、30ドルから40ドルあたりで上下しつつ安定していました。ところが今回はどんどん上昇を続け、下がる気配をみせません。今後、いくら下がるとしても以前のようにはならず、現在の値段くらいが「本来の価格」として新しい均衡点になるのではないかとのことです。

 昨日、郵政民営化法案が参議院で否決され、小泉首相が衆議院を解散しましたが、そのときの演説がなかなか評判だった模様。僕もそれを聞いてみたいと思ったのですが、動画が見つかりません(内容は官邸のウェブサイトで見ました)。93年以来の大きな話題性のある総選挙ではないかと思います。

 WinEdtの"dvi preview"を使うのは結局あきらめました。これ以上下手に色々いじってパソコンがおかしくなるのも嫌だし、その機能自体あったら便利そうだけど、絶対必要なものでは無いので。

8月11日(木)の夜

 さっき政治学部の事務室からメールが送られてきて、来学期のTAの授業が決まったとのこと。見ると僕は"African American Politics"なる授業に割り当てられていました。僕はこういう分野は勉強したことがないし、教える先生も思想系の人だし、こんなのあり得ません。4月の時点ですでに事務室に、今まで2回TAをやってるゲーム論と公共選択論の"Decision Theory"のTAにして欲しいと伝えてあるのに、おそらく今回送ってきた人が別の人であることからこの要望は無視されたのではないでしょうか。"Decision Theory"の先生とは先学期すでに教科書について話し合ってるし、大丈夫だとは思うのですが。ということで、さっそく変更希望のメールを事務所に送りました。

 今日午前中、International OfficeのWelcome Deskでのボランティアの間、ヒマだったので地元のフリーペーパーを読んでいました。その中にテキサス州にある"The Creation Evidence Museum"についての記事がありました。この博物館はダーウィンの進化論に対抗して、創造説が正しいとする「科学的証拠」を発掘、研究し、展示する目的で作られたものだそうです。この博物館がとりわけ創造説が正しいことを示す科学的根拠として示すのが、恐竜の化石と共に発掘された人間の足跡。彼らによれば人間は現在の姿のまま恐竜時代も存在していたのだそうです。館長の肩書きが"Dr."となっているのでいかにも科学者っぽいですが、実はPh.D.の学位はクリスチャン系の総合大学で「神学」で取得したもの。教育学のPh.D.と考古学のマスターはオーストラリアのビクトリア州管轄のクリスチャン系"ディグリーミル"(学位製造工場)で取得したもののようです。クリスチャンとして創造説を信じるのは全然結構なことだと思いますが、専門家でも無いのにこのような「疑似科学」の形を借りてことさら創造説を正当化するのはやはりどうかと思います。信仰している内容が同時に科学的事実であることを主張するのはやはりアメリカ人的ということでしょうか(まあ理科教育における進化論に対抗するためというのが大きいとは思いますが)。

 政治学部長が学部のメーリングリストに投稿したメールによると、比較政治に続いて政治思想の分野でもまたハーバードのAssociate Professorの引き抜きに成功したもようです。前から言っていることですが、政治思想なんて強化して一体どうするつもりなんでしょう!?(分野的にハーバードかプリンストンのPh.D.でないと就職できないと聞いたことがあります)。

8月12日(金)の昼

 またしても博士論文に関係無いのが問題ですが、研究のラフなアイデアを。

 7月の研究用読書ノートで紹介したKedarの論文では、中道の有権者が極端な立場を取る政党に投票するという可能性が示されています。これはどういうことかというと、有権者は自分の考えに近い政党に投票するのではなく、選挙後の政党間の妥協を考慮した上で、結果として自分の好む政策が出てくるように政党を選んで投票するということです。例えば、ドイツにおいて環境政策に関心をもつ有権者がいるとします。その有権者の環境政策への考えとしては中道政党に近いのですが、中道政党が勝ったところで、保守政党との妥協の結果、中道政党の主張が薄められ、その主張よりも保守政党寄りの環境政策が実施されることになります。こういった妥協によって主張が薄められるということを考慮するなら、結果としてその有権者にとって理想的な環境政策が実施されることを期待して、自分の考えよりも極端な緑の党に投票し、緑の党が勝つ方が望ましいかもしれません。Kedarはこの考えをCompensational-Vote Model(補正的投票モデル)と呼んでいます。
 このように政策的主張において「中道」の有権者が、極端な主張をする政党に投票する可能性や条件を探ることは、選挙政治を考える上で重要であると思います。日本においても昨今はナショナリズムの高まりが感じられますが、必ずしもそんなに右派ではない有権者が、政府の政策の全体としての方向性が右にシフトすることを期待して、自分の考えとはかけ離れた極右政党に投票することも考えられます。
 そこで日本においてこの補正的投票モデルを検証する上で有用な、「極端な政党が中道の有権者の支持を受けて躍進した」事例はあるのかと考えてみると、90年代後半の共産党の「躍進」が思い当たります。この時期共産党が「躍進」していたというのは意外な感じがしますが、まずは以下の図を見てください。



1980年から2003年までの総選挙における共産党得票率(1996年以降は比例区の得票率)を見てみると、80年から93年にかけて低落傾向にあったのが、96年と2000年の選挙では80年のとき以上の高い水準を記録し、2003年でまた93年の低い水準に戻っています。96年の総選挙では議席を15→26と大幅に増やしています。また同じ時期の共産党支持率を見ても、得票率と同様の傾向が見られます。97年の東京都議会選挙では議席を13→26と倍増させ、公明党を抜いて自民党に次ぐ第二党になりました。
 とはいえ、こうした共産党の「躍進」を「多くの人が共産主義に転向したから」「共産党の主張に賛同するようになったから」などとは説明できないでしょう。90年代後半においても、やはり共産党の主張はたいていの有権者からかけ離れた極端なもの(少なくとも有権者の認識において)だったはずです。しかしにもかかわらず共産党が票や支持を増やすことができたのは、補正投票モデルが示唆するように、「いくら躍進しても極端な共産党の主張がそのまま実現することはあり得ない。でも共産党が躍進することで政策の方向性は共産党の主張の方向にシフトし、結果として自分の望む結果が得られるのではないか」と考えた有権者が共産党に投票したからではないでしょうか。具体的にそうした有権者は、自民党に毒されたかのような社民党やさきがけの元支持者、あるいは新党に期待していて裏切られたと感じている有権者に多いと思われます。彼らは共産党ほど極端で無いにせよ、方向性としては共産党と同じくしていたはずです。実際、96年の共産党の躍進は、新進党、社民党、さきがけなどが議席を減らしたことによるものだと言われています。

 と、以上のような考えのもと、JESIIの96年総選挙のデータを使ってmultinomial probitで有権者の投票選択をいろいろ分析し、copemsational-vote modelを検証しようとしているのですが、全然結果がでません。まあ質問文の制約もあるのですが、なかなか難しいものです…。

8月13日(土)の昼

 Tシャツの写真。

 
 これは今年の1月に行われたローズボウル記念Tシャツ。大学生協で半額の10ドルで売られているのを買いました。テキサス大学とミシガン大学は共にフットボールの伝統校ながらずっと対戦したことがなく、このローズボウルが初対決となりました。結果、UTが38対37で劇的な勝利。それを誇示するかのようなデザインのTシャツです(特にバックプリント)。このTシャツを着てアナーバーの街を歩きたい(ミシガン大学に何の恨みもありませんが)。

 
 これはこの夏ボランティアをしているInternational OfficeでもらったボランティアTシャツ。アメリカってこういう類のTシャツを作るのが好きだと思います。しかしデザイン的にこのボランティアの仕事以外で着れないような。これが終わったら部屋着にしようと思います。

8月14日(日)の夕方

 昨日の夕方からテキサスA&Mの後輩が来ていました。少し共著予定の論文の話をした後、食事へ。例によってわれわれのお気に入りの日本料理の店であるMikadoに。僕は個人的にここがオースティンで一番おいしいと思います。ちなみにオースティンの寿司評論サイトであるaustinsushi.comによると、

1. Musashino
2. Uchi
3. Origami
4. Mikado
5. Umi

となっています。このうち1位のMusashinoと3位のOrigamiだけが僕の知る限り日本人経営です。Origamiは日本人の家族経営で、先日ここの日本人料理人の方に聞いた話ではファーストフードのラーメン屋をオースティンのNorth Cross Mallの近くに出店する計画があるとか。和菓子を手作りするなどなかなかコダワリのあるお店のようです(僕は行ったことがありません)。また、まだできて新しいためかこのランキングに載っていないものの、ダウンタウンにあるMaikoという店は、銀座久兵衛で修行した寿司職人の方がいて評判だったようですが、最近その方は辞められたそうです。ダウンタウンにある店といえば、Kenichi(ここも日本人経営らしい)が有名ですが、とても値段が高く僕が行ったときは3人で400ドルもしました(ごちそうしてもらいましたが)。その割りには雰囲気の良さが売りなのか、あまりおいしいとは思いませんでした。その点、Mikadoは雰囲気の良さはkenichiくらいある一方で、料理は寿司のコンボで18ドルくらいと良心的です。ネタも大きく新鮮で、アメリカで食べる寿司としては大変満足できます。
 で、寿司屋を出て大型電気店で携帯電話を見て、大型スーパーで買い物して帰宅。「第三の漢」ことW氏も交えて12時くらいまで飲みました。
 今日は10時過ぎに起きて韓国スーパーマーケットでカレールーと韓国海苔を購入し、ケンタッキーフライドチキンでブランチ。その後ショッピングモール大型ウェスタングッズ店、スタバと周って、数ヶ月前にリニューアルオープンしたWhole Foodsという全米展開のオーガニック食材の高級スーパーの本店に(ここがテキサス発祥と聞くと東海岸や西海岸の人はたいてい驚く)。まあもちろん玉ねぎ一つが4ドルとかあり得ない値段なので何も買えないのですが、オースティンのセレブライフの一旦を垣間見ることができます(このあたりには日本円で1億円を超える高級マンションがある)。さらに向かいにある高級ブティックへ。ここは日本の代官山にあるセレクトショップみたいなところで、ヘルムートラングとかポールスミスとかそういうのを扱っていて、ジーンズでも100ドル以下では買えません。たまたまカッコイイ鞄を手にすると平気で600ドルとかしています。アメリカ人的に考えるとこんなもん誰が買うのかと思いますが、中にはそういう人もいるということでしょう。
 というわけでなかなか充実した週末でした。勉強がんばらなければ。

8月17日(水)の夜

 Interal Officeでのボランティアを通じて、今日を含めてこれまでに8人の日本人の新入生に会いました。大学院生3人、学部生2人、交換留学生3人です。大学院生の一人は政治学部と同じ建物にある社会学部のPh.D.に入るという人で、その人の話によると他に2人社会学部のPh.D.に入る人がいるとのことです。また学部生の一人は政治学専攻でした。こうやって見ると結構日本人って多いなあと思います。もちろん中国人、韓国人、インド人には負けますが。

 今晩は経済学部のH先生ら数人と共に、オースティン郊外の豪邸でのディナーに招いて頂きました。今まで訪れた中で最も豪華な家でした。天井も高いし、調度品も豪華だし、まるで貴族のような暮らしです。この豪邸の主は博士号を二つもつアメリカ人IT技術者で、オースティンを一躍IT産業の中心地の一つに押し上げた、半導体業界の産官学研究開発コンソーシアムであるSEMATECHの設立者の一人でもあります。かつては大統領顧問を務めたこともあるそうです。まあ僕は将来どうがんばってもこういう家には住めないでしょうが(というか別に目指しているわけでもないですが)、なかなか良い人生経験でした。

8月18日(木)の昼

 来学期のTAの件、前からの希望通り"Decision Theory"というゲーム論のクラスに変えてもらいました。やっぱ一から勉強し直さなければいけない黒人政治のクラス(奴隷制、フレデリック・ダグラス、キング牧師、ブラックパンサーとかやるのか?)のTAはきついし、教科書に指定された Martin J. Osborne. 2003. An Introduction to Game Theoryもせっかく読んだんだし…。ただ、今回このクラスにTAとして割り当てられていた人は、僕より2年後輩ながら僕よりも本気でフォーマルセオリーをやっている人で、僕と同様経済学部でもゲーム論の授業をとった人です。その意味で、少し悪いかなあと思いますが、やはり自分の時間の確保などを考えるとやむをえないかとも思います。

8月20日(土)の昼

 The Nationという政治評論雑誌は民主党の左派の考えを代弁するもので、端的に「政府の力でもって様々な社会問題を解決していこう」という立場です。したがって、貧困問題の解決のために政府が積極的に貧しい人々やシングルマザーに様々な補助を与えることや、アファーマティブアクションによってマイノリティの進学を助けること、さらに国民全員が国の健康保険に加入することを支持します。また、企業の強欲な活動によって労働者が虐げられることの無いよう、労働組合の活動を支持するし、政府に対しては労働者保護の法律の制定を求めるなど、企業の自由な経済活動を規制しようとします。これは少し抽象的な言い方をすれば、自然的な(何もしないで放っておくとそうなる)弱肉強食の世界から生み出される数々の不幸を、人為的な力(政府の力)でもって克服しようとすることを意味します。つまり自然界の法則(優勝劣敗、弱肉強食)に人間の力でもって対抗し、「人間らしさ」を実現しようとする考えです。「人間は本来能力や社会的地位において不平等であるが、人として最低限の尊厳は全ての人間に平等に与えられるべきである」とする人権思想を体現した社会制度の構築を目指します。
 こうした社会改良主義的、革新的、進歩的考え方(モダンリベラリズム:現代的自由主義)は、古典的自由主義にもとづく弱肉強食の資本主義が行き詰った大恐慌以降、ルーズベルトのニューディールなどを通じてアメリカ社会を席捲し、25条に特に見られるように日本国憲法もモロにこの影響のもとに作られました。その絶頂期はおそらくジョンソン大統領の「偉大な社会」であり、政府があらゆる問題を人知(=科学)によって解決できるとの考えのもと、様々な福祉政策、社会政策が打ち出されました。しかし結局そうした試みはどうやら失敗したようであり、残ったのは多額の財政赤字と、福祉に頼って生きる「怠惰な」人々、不況、そして各種社会プログラムを実施するために肥大化した非効率な官僚組織です。アメリカ社会はその後、この反省、批判から古典的自由主義へと回帰し始め、80年代以降現在に至るまで新自由主義が顕著になっています。そういう意味で、このThe Nationおよび民主党左派は「時代遅れ」とでも言える存在です。
 で、前置きが長くなりましたが、具体的にこのThe Nationは各種社会問題に対してどのような主張をするのか。The Nationの最新号には、"JUNK FOOD NATION: WHO'S TO BLAME FOR CHILDHOOD OBESITY?"と題して、ジャンクフードと子どもの肥満の問題が取り上げられています。この中で筆者が問題とするのは、マクドナルド、バーガーキングなどのファーストフード、クラフトやナビスコなどのスナック菓子、コカコーラやペプシなどの糖分過多の炭酸飲料が引き起こす子どもの肥満です。話としては、こうした巨大ジャンクフード企業がブッシュ政権に強く働きかけている結果、消費者団体や世論の願いにも関わらず、政府は子どもに対する有害な食品の購買意欲をそそる宣伝を野放しにしているというものです。人々の要求とそれに反する政府の巨大産業保護の実態の隔たりは、アメリカにおけるデモクラシーの衰退の一つの強力な例であると言います。もちろん筆者らは、解決策として政府が企業による子どもへのジャンクフードの宣伝活動を規制することを主張します。
 こうした立場は、ラルフ・ネーダーの消費者運動や、マクドナルドを1ヶ月食べ続けた映画"Super Size Me!"にも共通するもので、食品問題は政府の力を信じる昔ながらのリベラル派が、現在においても優勢に議論をすすめることできる数少ない分野の一つといえると思います(日本でも以前、最左派と見られる『週刊金曜日』に連載されていた『買ってはいけない』が200万部近く売れました)。ただし政府による規制反対という点でリベラルとは正反対の立場をとるリバータリアンもこの問題には関心があり、有名なリバータリアンジャーナリストのJohn Stosselも精力的にこうした消費者問題に取り組んでいます。ただし彼の解決方法は、あくまでも消費者がきちんと選択できるよう、企業に栄養表示、情報公開を求めるというもので、政府の規制には反対しています。むしろ論点としては政府も大企業とグルになって国民をだましているので、いっそ政府がこの問題に関与しなければ良いというものです。要するに食品に関して正しい情報さえ公開されれば、後は健康に悪いものを買おうが健康に良いものを買おうが全て個人の自由な選択であり、自己責任であるということです。もちろんここには「政府の介入が無く、市場原理が働けば、悪い商品は消費者に選ばれず自然に淘汰される」という考えが前提とされています。

8月23日(火)の昼

 先週の木曜日、僕の近所のアパートで殺人事件がありました。で、その犯人が今日の早朝にメキシコで逮捕された模様です。殺したのも殺されたのもUTの学生です。まあ通りすがりとか強盗ではないようなので安心といえば安心ですが、こんな近所で殺人事件が起こるなんて少しショックを感じます。

8月27日(土)の昼

 低調で泥沼な毎日を送っています。あと少しで学期が始まるのがプレッシャーです。もっと心を強く持たねば。

 全然関係無いのですが、最近の食生活について。以前よりも健康に気を使うようにしていて、朝はにんじん、セロリ、トマト、昼はだいたいサーモンを少しと温野菜およびごはん、夜はトマトソースかぺペロンチーノの野菜パスタか野菜スープか野菜カレーを作っています。間食は洋ナシ、プラム、オレンジ、バナナなどの果物で、昼過ぎに100%りんごジュース、寝る前にハーブティーを飲みます。ここ数年にかけて肉はほとんど食べなくなり、たまに食べる機会があっても、食べ過ぎないように注意しないと気分が悪くなります。と、こうやって見ると以前批判めいたことを書いた自己啓発セミナー主催者のジェームズ・スキナーみたいです。
 あと最近のお気に入りは韓国のりとシソ。韓国のりは韓国系スーパーで買ったもの。シソは、シソを育てている日本人の方から頂いたものです。刻んでごはんに混ぜると美味です。

 昨夜は11時ごろにアメリカ人の友人から電話があり、深夜営業のヒッピーなカフェで会いました。彼の近況としては、最近質屋(Pawn Shop)でバイトを始めたそうです。採用に当たっては、薬物検査があり彼はそれにひっかかることを恐れていたのですが、無事通ったそうです。今週末、1988年製のキャデラックを2000ドルで買うそうで、「乗せて色々なところに連れて行ってやる」と言っているのですが、車もボロいだろうし、彼の運転もどうかと思うので正直あまり有難くありません。
 ちなみにこのカフェは野外で映画の上映やバンドの生演奏をやっていて雰囲気もアングラな意味で良いのですが、値段が異様に安く、コーヒーは税込みで一杯1ドルです。しかも客の中には何も注文せず水だけ飲んでいる人も多いです。オースティンにはこのようにどうやって経営が成り立っているんだろうというカフェが多い気がします。

8月29日(月)の夕方

 「新しい駐車許可証を発行するから取りに来い」とのことだったので、アパートの管理人のオフィスに行きました。僕は車を持っていないのですが、まあ一応受け取っておいた方が良いかなあと思って。シールを一枚くれたのですが、これは居住者用の許可証でゲスト用ではありません。僕の場合、訪ねて来る人のためのゲスト用駐車許可証がむしろ要るので「ゲスト用の許可証は?」と尋ねると「今までのが使える」とのこと。で、さらに続けて唐突に「あなた"boy friend"いるんでしょ?」と聞かれました。ボーイフレンド? 響きだけ考えれば「恋人」、「彼氏」という意味なのかとも思いますが、以前女性が自分の女友だちを言うときに"girl friend"と言っているのを聞いたこともあるし、単に「男友達」という意味のような気もします。どう答えてよいか考えあぐねていると、管理人は「彼はよく来るんでしょ?」と笑顔でもう一枚居住者用の駐車許可証をくれました。とりあえず礼を言って受け取ったのですが、これってゲイと思われた? 「彼氏」がよく訪ねてくるから特別にその彼氏の分も居住者用の許可証をくれた? もしそうならセクハラで訴えたいくらいの気分です。一体"boy friend"とはこの場合何を意味するのでしょうか? 最近、服装や体型などから「ゲイっぽい」と言われることが結構あるのですが、これは真剣に考えないといけない問題かもしれません。

8月31日(水)の夕方

 購読しているオースティンの反戦団体のメルマガによると、今日の午後5時から州議事堂前で、Cindy Sheehan氏を迎えての反戦デモがあるとのこと。Cindy Sheehanは日本でも報道されているように、イラク戦争で息子を失くした母親で、ブッシュ大統領との会見を要求してクロフォードのブッシュ牧場の前で座り込みをしていた人です。このたびクロフォードでの抗議活動を終え、各地でこのようなデモを行いながら、24日にワシントンDCで予定されている反戦集会に向かうとのことです。オースティンはその最初のデモ開催地です。
 メルマガによると5時に参加者は議事堂前に集まってSheehanのバスを向かえ、5時45分からデモを開始し、6時から公園で集会を行う予定ということだったのですが、僕は自分の勉強のペースを乱したくなかったので、6時すぎにダウンタウンに向かうことに。しかし行ってみるとそれらしき人影どころか人がいた形跡すらありません。それでもデモ隊に追いつけるんじゃないかとCongress Avenueを自転車で南下したのですが、やはり見当たらない。時間は6時20分です。仕方なくオフィスに戻り、メルマガをもう一度確認すると、最後の集会の場所を勘違いしていたことが発覚。どうりでデモ隊に追いつけないわけです。でもダウンタウンの雰囲気からして、デモはそんなに盛大ではなかったのではないかなあと思いました(少なくともイラク戦争前の反戦デモほどでは無いと思う)。

 このウェブサイトにYES! PROJECTのバナーを設置しました。議員インターンのNPO法人ドットジェイピーのスタッフOBメルマガで宣伝されていたもので、なんか僕とは縁が無さそうなホリエモン系若手ベンチャー企業家の人たちが立ち上げた、特定の党派には絡まない投票促進の市民運動だそうです("YES"はYoung Entreprenuer Societyの略)。まあ何をするのか良く分からないのですが、「選挙に行こう」などと政治参加を促すという趣旨には賛同できるので。

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